プライムソイ(北海道産大豆)開発者インタビュー

サステイナブルやビーガンに関連して、年々認知度の上がってきている大豆ミートですが、大豆ミートを料理などに使われたことはりますでしょうか?
そのままでは食べられないし、調理の仕方もよく分からないで、試せてない方が多いのではないでしょうか。
大豆ミートって何?に関してはコチラをご覧ください。 大豆ミートの基礎知識と種類について解説。調理方法とワンポイントアドバイスも。
ソヤファームクラブで新たに「プライムソイ(北海道産大豆)※」を発売することになりました。

構想から3年、ついに、従来の大豆ミートと違い「プライムソイ(北海道産大豆)」そのまま食べられるおいしさを実現ました。
この「プライムソイ(北海道産大豆)」の企画・開発をされた不二製油 米元さんと大澤さんに話を聞いてきました。
インタビュアー:ソヤファームクラブ 小峯
※販売者:フジフレッシュフーズ株式会社


従来の大豆ミートとの違い ~そのまま食べられるおいしさ~


小峯:従来の大豆ミートとどう違うのか教えていただけますでしょうか?
大澤:そうですね。従来の大豆ミートは3つの理由からご家庭で使用するハードルが高かったんです。
(①お肉のように使ってもらうために乾燥状態から水に30分浸す②独特の大豆臭が強いため、水洗いが必要③大豆臭が残るため味の濃いお料理での使用が多く使用できる料理に制限がある)
今回の「プライムソイ(北海道産大豆)」は、国産大豆そのままのおいしさを残すことができましたので、そのまま料理に使っていただけます。サラダやスープにかける、ヨーグルトに混ぜる。水で戻してお肉と同じように使うなど、いろんな料理に使いやすくなっています。
小峯:大豆ミートというと調理しにくいイメージでしたが、そのまま食べてもおいしいなら、料理にも手軽に使えそうですね。

「プライムソイ(北海道産大豆)」を開発したきっかけ

小峯:大豆の風味を楽しめる「プライムソイ(北海道産大豆)」を開発しようと思ったのですか?
米元さん:不二製油は創業初期から大豆ミートに力を入れてきましたが、今まで大豆ミートで目指したものって、いかに食材としての機能(例えば、肉の様な食感)を際立たせるかってことで、大豆の味を消して調理しやすくすることでした。
これから大豆ミートをもっと身近な食材にしていくには、肉の代わりとかではなくて、食材としてのポジションを確立するような大豆ミートを作ろうと開発を始めました。
小峯:食材としてのポジションを確立する大豆ミートとはどういうものでしょうか?
米元:大豆の風味が活きた大豆ミートと考えます。
大豆ミートについて調査をすると、肉の代替ではなく、豆が好きだから大豆ミートを選んでいる人がいることが分かりました。その視点で市場品を見ると、豆のおいしさを全面に出した大豆ミートってないなって気づいたんです。それで大豆のおいしさを引き出した大豆ミートを作ることにしました。裏テーマとしは、塩をかけて食べておいしいっていうところを目指して。

大豆原料へのこだわり

小峯:大豆のおいしさを引き出すためにどんなところに拘りましたか?
米元:原料の大豆選定です。「豆のおいしさってなんなんだ?」っていうところに立ち戻り考えました。それで大豆専門の商社さんから、いろんな種類の大豆を取り寄せて、甘味が強いもの、少ないもの、油分の多いもの、少ないものとか・・・。
蒸豆が一番、味が分かりやすいから、蒸して食べ比べて、どれが一番おいしいかっていのを選定しました。そうして候補を絞って試作して、大豆ミートを試作して商品になった時においしいものを検討しました。経験したことない大豆のおいしさみたいなのを引き出せたので、よしこれにしようって、決めました。

小峯:「プライムソイ(北海道産大豆)」の風味を表現するならどんな感じでしょうか?
米元:煎り豆と煮豆の真ん中ですね。豆を煎った時の香ばしさと豆を蒸かした時の甘味を混ぜ合わせた感じ、自然な甘さが特徴かなと思います。
小峯:(試食)まさしくその通りすね!ついつい次が進む味だなと思います。その他には、拘られた点ありますか?
技術です。豆のおいしさ追求するために、大豆を丸ごと原料に使いたかったのですが、それが技術的に難しいものでした。
そこは開発の大澤くんが頑張ってくれて、プライムテクスチャー製法が確立されて丸大豆が使えるようになりました。
小峯:技術革新もあったのですか!こちらも詳しくお聞きしたいです。

大豆を丸ごと使って作ることは技術的に難しかった。

小峯:大豆を丸ごと原料として使うのが難しかったということですが、具体的にどう難しかったのですか?
大澤:大豆ミートはエクストルーダーという、スナック菓子づくりなど、昔から食品づくりに使われている機械で作っています。
エクストルーダーは、原料を水と混ぜて、圧力をかけて押し出す機械なんですけれども、そこに油を入れてしまうと原料が油ですべってしまって、圧力をかけるのが難しく、上手く成型ができませんでした。そのため使用できる原料は油分の少ないものに限られていました。
今回開発した「プライムテクスチャー製法」によって、油分を多く含んでいても成型できるようになりました。
小峯:含むことができる油分の量としては何倍ぐらいになったんですか?

大澤:一般的な大豆ミートは油分が多くて 2% ぐらいですが、プライムテクスチャー製法だと丸大豆をまるごと原料として使用できるため、そこに含まれる油分は20%ぐらいなので、約10倍ですね。
小峯:10倍!すごい、それはすごいなあ! この製法を確立するのにどのくらい実験されたんですか?
大澤:製法を確立するまでで100~150回は行いました。
小峯:気が遠くなる回数です・・・
大澤さん:元々不二製油では大豆ミートを60年間研究しており、その積み重ねの歴史もあってプライムテクスチャー製法が実現しました。
小峯:長年の努力、研究が積み重なって完成した製法なんですね。感慨深いです。

大豆ミートのこれから

小峯:今後プライムソイを通して、今後どういう世界を作っていきたいですか?
大澤さん:やっぱり大豆ミートって、まだやっぱりおいしくないよねっていうのが定着してしまっているので、「おいしくしていかないと」、というのは常に考えていました。
どんなに健康に良くても手に取っていただけないと意味がないから、大豆ミートのベースのおいしさをしっかり上げていきたいと思っています。
最近では卵不足が問題になったりしましたが、2050年には人口増加により食料不足の問題は深刻化し、世界の肉の消費量が現在の2倍になると言われています。その時に、お肉が高い/ないから仕方なく、ではなくて、おいしいから大豆ミートを選んでもらえる未来を作っていきたいです。
米元:不二製油が目指していくものは、食材としておいしいものを作っていくことです。10年後20年後にお肉の代わりでなく、大豆ミートそのものを定着させていきたい。それができるのがプライムソイだと思っています。
小峯:今回のインタビューを通して、おいしい大豆ミートを作るために、様々な開発・努力がされていることを知りました。将来、お肉が簡単に食べられない時がきたときに、食の選択肢が広がっていることはとても大事だなと思いますし、その一つに大豆ミートがあってほしいなと思いました。ありがとうございました!